「やわらかく、考える。」外山滋比古

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「やわらかく、考える。」外山滋比古 PHP研究所 2019年

 著者は英文学、教育、評論など広い分野に功績がある学者である。今年で95歳になるが、今なお現役だ。しかも歳を重ねるにつれ主張は独創的となる。プログレッシブである。

 著者の知力・思考力は三段階である。

(1)30代までは知識の習得に励む

 知らないことを学び、知識としていくのだから、勉強は楽しいものではないが、思考の基盤となるのでしっかり学ぶ。

(2)40代からは知識に頼らず、自分で考える

 頭の中には雑多なものがつめこまれている。まわりの人の話、テレビやラジオ、携帯電話やネットからの情報など、あまり役に立たないものがためこまれている。多くはゴミとなっている。頭をよくしたければ、頭の中の余分なものを捨ててしまうことだ。

 知力は頭だけではない。身体を動かさず、机にしがみついて勉強ばかりしていては、頭の働きは弱くなっていく。忙しくても昼寝する。そうすれば自然に頭が整理され、よく働くようになる。

(3)新しい思考に向かう

 ここからが著者の独創的なところである。
 ものの考え方はひとつではない。考え方のバリエーションはいくらでもある。
 世界や人生の現実を一つの考え・原理で説明しようとする一元論は明確であるが、同じ世界内でしか通用しない。国家、民族、宗教問題では対立する面が解決できない。一方、多元論は立体的に追求できる。芸術や生命現象、感情の中にまで入っていける。

 さらに言葉だけが考える道具ではない。図画・映像的思考や音にも意味がある。

 新しい思考を生み出すには、発想形式の違う言語(外国語)を学ぶことで起こる。違った形の言葉を違った順序に並べることで、頭の働きが違ったルートを走り、違ったところへ達するからである。

 外山先生の本を読むと、老いることは衰えていくことだと思えない。記憶力が落ちても、頭の中が軽くなって考えがより早くなる。たえず新しい考えを生みだしていくのが、高齢でも可能だと教えられた。

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