徳島を考えるシリーズ No.81【ニッポン・世界を考える 16】
東日本大震災から10年。テレビではその特集がいっぱい。悲惨なシーンもあるが、〝絆〟や〝寄り添う〟などいう、美談めいたものが多い。大災害で悲惨な状況において、献身的な行動が様々に見られた。しかし実態は、美しい話ばかりではなかった。表にでていない、災害特有の〝裏側〟がある。
他人事ではない。わが徳島は〝南海トラフ巨大地震〟の直撃地域されている。東北の被災者は、わたしたちの将来の姿である。災害そのものは防ぎきれないことが多いが、国や自治体による支援、復興策は決して被災者にやさしいものではないし、怪しいものもあることを知っておこう。
◆「東日本大震災100の教訓:地震・津波編」
みやぎ震災復興研究センター(編) クリエイツかもがわ 2019年
被災者の視線で、救援・応急対応・復旧・復興のプロセスにおける経験と教訓。いまだ復興の途上、住民本位からの問題と課題を提起する。なお本書は地震・津波についてまとめられたものであり、原発事故の被災は別にされている。
この本から被災住民の声を聞いてみる。
◆家族を信じてひとりで逃げろ
地震発生で避難する。ところが、すぐに自宅に戻る人が多い。子供や年寄りを助けに行くからである。これは、ピックアップ行動と言い、危険である。そうして、押し寄せた津波に呑まれた。
学校は子供が大人に頼らず自分の判断で逃げるようにも訓練しておくべきだ。集団避難訓練だけでは、足りない。家族では、それぞれどこに逃げるかを話しあっておく。子供たちもお年寄りも、確実に避難している。だから自分が助けに行く必要はないという確信を育てておく。
大規模災害が発生すると、市役所など行政の手が被災者まで行き届かなくなる。このため市民は行政に過度に依存することがないよう、自らが災害への備え、地域ぐるみの備えを取り組んでおく。
◆官民一体の惨事便乗型ビジネス
仙台市は被災地で今後も津波被害が想定される地域住民に、集団移転を推進する。住民は津波防御した現地再建を望んだ。多くは年金生活者だった。住民追い出しのあとは、大手ゼネコンが主導する市街地復興事業が始まった。移住させられた住民は〝家賃〟を払って住むことになる。災害復興で繰り返される〝惨事便乗型ビジネス〟に行政が丸投げしているのである。
◆災害公営住宅
被災者は入居4年後から家賃が値上げとなる。入居者の多くは高齢者、単身者なので、収入が低いほど値上げ幅が大きくなってしまう。
◆在宅被災者
在宅被災者は、自宅が損壊しながらも、自宅で居住している。大半は大規模半壊・全壊であり修理費不足でトイレ、風呂などが修理できていない家もあった。災害後は人出不足、資材不足で修理費が高騰するからである。
自宅があるということで支援物資、情報提供が行き届かず、避難所や仮設住宅に居住する者と、支援の格差が生じた。それでも自宅生活なのは、①避難所不足 ②ペット、要介護者がいること ③避難所環境の劣悪さなどが原因である。
◆復興予算の怪
復興予算は25兆円(2015年資料)が投じられた。。現在21年度になると31兆円にまでなる。25兆円の使い道を見ると、被災者の再建に直接関係する資金は〝8%〟である。莫大な復興資金は被災地外での全国防災対策費となっている。今後の災害に対しての対策費となっている。実際のところ何にいくら使用されたは判然としない。復興予算のはずが、被災地外へのものだと予算流用ではないか。
◆東京オリンピックの欺瞞
大震災からの復興後の姿を示したいというのが、東京大会の意義とされている。しかし、東京のオリンピックであって、被災三県オリンピックではない。復興五輪というけれど、多くの人々を亡くし、生活の再建途上にある被災地を、東京が代表できるわけでない。被災者への調査でも、80%以上は復興に役立ったとは回答していない。
オリンピックの工事などで人手・資材をとられ復興が遅れたのは事実だ。オリンピックという祝祭で、被災地の問題を覆い隠そうとした面はある。政権・政治家は人の不幸を利用してまでも、自分たちの利権を作り出すものだと言える。アスリートががんばっている、その努力に報いてやりたいというのもいいが、10年経ってもいまだ避難状態している4万人もの暮らしとどちらが優先するんだ?
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