「悪魔的な神」 高田勝成

「悪魔的な神」 高田勝成 デザインエッグ社 2021年

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◆神はわがまま?

◇聖書の神は、旧約聖書の中で自らを「妬む神」と表現している。信者が他の信者に行うどんな罪も許すが、自分に対する不敬や、異教の神を祀る者だけは決して許さない。

◇神はきまぐれで、預言が実現しないこともある。聖書では「神は嘘をついた」「預言が外れた」とは言われず、「神は思い直された」と書かれている。
 つまり神の預言は、100%は当たらないのであるから、あてにしないよーに。

◆神はとっても残酷?

◇神は、神のために平気で我が子を殺そうとするアブラハムの行為を褒め称えた。息子は助かったが。

◇「汝の隣人を愛せ」というのは異教徒には適用されない。エジプトを脱出したモーセ達は、カナン人とその町々を絶滅させた。女と子供を捕虜にしたが、モーセは指揮官達に怒りをぶつけて言った。子供たちのうち、男の子は皆、殺せ。男と寝て男を知っている女も皆、殺せ。

◇著者の考えでは、ユダヤ教徒による古代パレスチナの先住民虐殺や、キリスト教徒によるヨーロッパ中世の魔女裁判や中南米の原住民の虐殺が行われた背景には、旧約聖書の神の教えを忠実に守ろうとすることがあったのではないか。ユダヤ教の流れをくむイスラム教徒による仏像や神像の破壊等もそうである。

◆神の力はご都合主義?

◇民が戦いを前にして、戦勝を神に祈る。戦闘に勝てば神の力ということになり、負ければ民の信仰心が足りないからとされる。

 それはどこの宗教でもある考え方である。神仏に向かって心願・大願を行った結果がどうであれ、神仏への信頼は揺るがない。こうしておくと、当時の部族のリーダーや宗教指導者にとって都合よい。

 第二次大戦中のユダヤ民族に対するナチスドイツのホロコースト。ユダヤ人たちは迫害を受け続けた歴史のなかでも、最大の危機だった。モーセのエジプト脱出をサポートし、そのことを何度も恩着せがましく供え物を要求していた神は、ホロコーストに対し何の救いももたらさなかった。ナチスを倒し、収容所のユダヤ人を救ったのは、ソ連軍と欧米の連合軍という人間の軍隊であった。

 それでもユダヤ人達は信仰を捨てなかった。救いがなかったのは自分たちの信仰が足りなかったからだ、と。宗教というのは理性、合理的などを超える情熱があるようだ。

◆古いからといってバカにしてはならない

 旧約聖書は2〜3,000年前に作られたものである。風俗習慣もまったく違う地域・民族のものである。それを現代の知識で読めば、つっこみどころ満載になる。それはそれで、楽しいが。

 聖書をいまだに信じている人々は全世界にいる。偏った解釈も無数にあるだろう。そうかな? と思っても、聖書を読んでいなかったら、その勢いに負けてしまう。現代人の教養としても、大事なものである。

◆著者の情報
1969年3月生まれ。大阪府出身。

◆オンデマンド出版

 本書は、自費出版に似たオンデマンドで出版されたものである。紙の本を注文を受けてから印刷する。書籍の売上の一部を印刷費として回すため、 著者が印刷費をご負担しなくてよい。つまり、無料で出版できる。オンライン書店Amazonでの販売を中心とすることにより、在庫を持たずに本が出版できる。注文すれば1〜2日で届く。 費用ゼロで出版できるうえに印税が10%入るため、損することがないという。

 売価は少々高くなるが、無料で紙の本を出版できるのは魅力だ。一般に自費出版の場合、最安120万円からなどでハードルが高い。本ができあがったものの、自宅が在庫の山となり、近くの書店をまわって、店に置いてくださいと自ら営業しなくてならないとか、本好きにとって自分の本を出すのは、なかなかだ。

 だから、このシステムは広がってくる可能性はある。個人でしか出せないような内容の本も、なんか楽しそうだ。

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